布の落とす陰に座る
2つの大きな半島に囲まれ、温暖な気候や穏やかな波によって、海や山の幸に恵まれた蒲郡。古くから手芸や農業が盛んであり、穏やかな時間が流れるような人の営みがそこには存在する。蒲郡の美しい風景の中に溶け込んで時間を忘れるような居場所を作れないだろうか。私たちは、まず“座る” という行為を再考し、腰掛けではなく居場所を作る考えに至った。
海岸特有の風を受けて空にかかる天幕は優しくなびく。蒲郡の風景と一体になったこれらは優しい陰を落とし、陰は私たちと蒲郡の輪郭を曖昧にする。陰に腰を下ろしたとき私たちの手が生き物や草花に触れたとき、身体全体が大地に溶け込み蒲郡の自然を全身で感じることができるだろう。